貧血

妊婦さんは貧血になりやすい??
おなかの赤ちゃんは大丈夫なの?
その傾向と対応策

毎月の生理があるし貧血気味の女性も多いのでは?
妊婦さん全体の20%が貧血と言われています。

妊娠すると赤ちゃんを育てるために血液がたくさん必要になります。
純粋に血液が増えればいいのですがそうではないんです…

貧血はひどくなると治療が必要になりますし、赤ちゃんの成長や産後の回復にも影響してきます。

では、その仕組みや予防法を見ていきましょう!


<妊娠中の貧血とは?>

血液中に含まれる赤血球やヘモグロビンが不足している状態です。

妊娠中は母体の血液量が増えるのですが、血液中にある赤血球などの成分はあまり増えません。

つまり「水っぽく薄まった状態」になるように仕組まれています。

酸素はヘモグロビンによって運ばれるため、不足することで全身に酸素が十分運べなくなります。

心臓は何とかして補おうと負担がかかり動悸や息切れなどの症状が出てきます。

おなかの赤ちゃんは子宮を流れる血液によって酸素をもらっているので、強い貧血は赤ちゃんも酸欠状態になってしまう可能性があるということです。

また、妊娠30週ごろからは、おなかの赤ちゃんの成長に必要な鉄分もここから吸収されるので、母体の鉄分が不足しがちになり貧血になります。

採血で血液中のヘモグロビン量で診断されます。

ヘモグロビン 11g/dl以下

または

ヘマトクリット 33%未満
平均赤血球容積(MCV) 79fL未満

<貧血の種類>

再生不良性貧血、溶血性貧血などがありますが妊娠中の貧血のほとんどは「鉄欠乏性貧血」です。

ヘモグロビンの材料になる鉄の不足が原因。
まれに「葉酸欠乏性貧血」あります。

妊婦さんの0.5~1.5%に起こるもので血液中の葉酸値が低いことで診断されます。

おなかの赤ちゃんの神経管閉鎖不全のリスクがあがる。
治療は葉酸の投与。

<症状>

・動悸・息切れ
・だるい
・頭痛
・立ちくらみ・ふらつき
・めまい
・吐き気
・顔色が悪い
・爪の色が白い
・下まぶたの裏側が白っぽい など

<治療法>

鉄剤の内服薬、注射薬

薬の副作用で胃がムカムカしたり、便秘や下痢などの症状が出ることがあります。

<改善方法&予防法>

なんといっても、食事での改善が一番です!

食材の組み合わせによって体への吸収がよくなったり、逆に阻害されたり…

その組み合わせも利用して効率よく食べましょうね。

植物性のものより動物性のものの方が、多少鉄分の吸収が良いとされています。

ビタミンB12、葉酸も含めて摂るようにしサプリメントも効果的ですよ。

ただし、信頼できる安全なものをチョイスしましょうね。

☆おうちでできる貧血予防のポイント

・食事はバランスよく!

毎日できなくても三日、1週間という少し長い期間で調整すれば苦になりませんよ。

一日で改善されるものではないので、毎日ちょっとずつ&長く続けられるように。

・鉄分の吸収を効率よくする!
吸収を妨げてしまうタンニンを含むものは食事にはNG

緑茶、コーヒー、紅茶など

せっかく頂くなら鉄分の吸収をジャマしないように美味しく♪

また鉄製のフライパンやお鍋を使うと、微量ですが溶けだした鉄分をいただくことができます!

・動物性たんぱく質と一緒に!

大豆や野菜は動物性のたんぱく質と一緒に取ることで吸収がUPします。

例)小松菜のおひたし + 桜エビ、かまぼこ

・鉄分を積極的に!

鉄分を多く含む食材*1)を参考に食べられそうなものを使いましょう。

レバーがいいからといって嫌いなものを我慢して食べる必要はないと私は思いますよ。

だったら、ほうれん草やひじきを選べばOK

毎日作るのが面倒だったらひじきや切り干し大根の煮物を大量に作って常備菜にするのもオススメ。

それでも時間がない人やつわりでお料理できないときは、お惣菜を利用するのも◎

ビタミンCと一緒に摂ることで吸収がよくなりますよ。

例)ほうれん草のおひたし + レモン汁、酢
  お味噌汁の具にネギや青菜

ちなみにレンジの利用は賛否両論あるかもしれませんが…

つわりや妊娠中のしんどい時は手抜き、時短でいきましょう!

例)洗ったほうれん草をラップでくるんでチン
  軽く水にとり絞ってポン酢とかつおぶしで和えるだけ♪

☆鉄分と一緒にとりたい栄養素

・葉酸     ほうれん草、アスパラガス、レバー、牛乳、ピーナッツ、アーモンド、ちりめんじゃこ

・ビタミンB6  レバー、黒砂糖、豆乳、牛乳

・ビタミンB12 レバー、卵、牛乳、納豆、海藻類

・ビタミンC   青菜類、ピーマン、さやえんどう、イチゴ、かんきつ類、もやし

・銅      大豆、ゴマ、干しきくらげ

<まとめ>

ヘモグロビンは妊娠8か月に最低となり、その後少しづつ増えてお産後に正常に戻ります。

血液量を増やし、お産に備えていく体の変化は不思議ですよね。

でも、妊婦さんにとっては「貧血」というつらいものになってしまうのも事実です。

貧血がひどいとお産のときの出血が増えたり、産後の回復が遅くなるなどのリスクも考えられます。

その一方で血液が薄まったことで血栓予防になったり、血液循環がスムーズになるなどのメリットとしても考えられています。

軽度のものは生理的なものとして心配せず、毎日の食事でカバーしていきましょう。