胸やけ(後期つわり)

つわりは終わったのに今度は胃もたれ?
胸やけ??「後期つわり」
その傾向と対応策

通称「後期つわり」とは妊娠後期に出てくるつわりに似た症状で、妊婦さんたちの間ではメジャーな言葉だそうですが、医学的には使いません。

ですが、実際につわりのような症状なので「妊娠後期にまたつわりになった!」と思ってしまう妊婦さんは多いようですね。

そもそも妊娠中は消化器の動きが鈍くなります。

そうすると胃と食道の境目の筋肉(下部食道括約筋)が緩み、いつもより消化が悪く感じてしまうのです。

普段は胃の中に留まっている胃酸が逆流し、苦みや食べたものの後味がして不快です。

とくに妊娠後期にかけては、お腹が大きくなって内臓が押し上げられている状態になります。

これは生理的な変化で避けられませんが、まれに病気が隠れていることがあるので注意が必要です。

お産が近づいてくる妊娠37週あたりからは、お産に備えて赤ちゃんの頭が上がってきます。

そうすると、胃などの圧迫が少なくなり症状が楽になってくることが多いです。

<症状>

・ムカムカ、吐き気
・嘔吐
・げっぷ
・みぞおちの辺りの痛み
・胃痛

<原因>

①大きくなったお腹が胃を圧迫し消化する時間が伸びてしまう。

②プロゲステロンという女性ホルモンの影響で
 胃と食道の境目の筋肉が緩む。

③睡眠不足や不安などのストレス

<病気が隠れているかも?>

ただのムカムカと思っていても、実は重大な病気が隠れている可能性もあります。

怖がる必要はありませんが、自分の体の変化は注意しておきたいですね。

・逆流性食道炎

妊娠によって胃と食道の境目の筋肉が緩んだことで、胃酸が食道へ逆流する病気。

症状は吐き気、胸やけ、口やのどに酸っぱい液がこみ上げてくる呑酸、腹部膨満感(お腹が張る)

・妊娠高血圧症候群

血圧が上がるタイプ、たんぱく尿が出たり腎機能障害の出るタイプがある。

症状は高血圧、たんぱく尿などで、重症化するとけいれんや脳出血のおそれがある。

まれに肝機能障害や血液の異常を伴う「HELLP(ヘルプ)症候群」を起こすことがあり、吐き気、みぞおちの痛み、嘔吐がみられる。

吐き気に頭痛や発熱を伴うときにはその他の病気を疑うことも大切です。
脳梗塞や髄膜炎、虫垂炎などの可能性もあるので、迷ったらかかりつけの産婦人科へ連絡しましょう。

<対策>

①食事の量を少なく、回数を増やす。

今までの半分くらいの量を目安にして、1日5回食をイメージしていきましょう。

だからと言って、甘いものを増やすのはNGですよ

②消化のいいものを食べる

うどん、おかゆ、ヨーグルトなどに野菜(かぼちゃ、サツマイモなど)やフルーツを加えてビタミン類の補充をする。

野菜はゆでて消化しやすくしましょう。
たんぱく質は豆腐や納豆などの大豆製品がオススメ

魚や肉は脂身の少ない部位を選んだり、蒸す・ゆでる・煮ると食べやすくなります。

③消化が良くなるような調理

煮物、汁物は温かくて軟らかいので食べやすく消化しやすいです。
野菜をたっぷり使ったスープはオススメです。
圧力なべを使えば時短で栄養価も逃がしませんよ。

④食事に集中する

スマホを見ながら…テレビを見ながらなどの「ながら食べ」は消化不良の原因になります。

よく噛むことは消化を良くしてくれます。

⑤食後は立つ!寝ないこと

重力を味方にすることも効果的です。

⑥胃酸による苦みを和らげるためにガムを嚙む
⑦寝る3時間前までに食事を済ませる

寝るまでに消化がある程度終わっている状態にするのが◎

⑧寝る姿勢の工夫

胃が圧迫されないように仰向けはやめましょう。
少し上半身を上げられるように枕やクッションで背もたれを作ると楽になります。

⑨ストレス発散

睡眠不足やストレスが自律神経に影響して消化器の不調につながることもあります。

快適な環境で質のいい睡眠を心がけましょう。

(詳しくは「不眠」のページへ)

☆避けたいもの

・脂っこいもの~消化に時間がかかり胃に負担をかけてしまう
・刺激物~胃に負担がかかってしまう
・柑橘系~吐き気を起こしやすい
・炭酸飲料~胃酸の逆流が起こりやすい
・甘いもの~胃酸を増やしてしまう

<まとめ>

せっかくつわりが治まって快適な妊婦ライフと思いきや、後期にムカムカ…ショックを受ける人もいるかもしれませんね。

ムカムカといった吐き気だけなら生理的な変化で、お産が終わるとなくなることがほとんどなので、工夫をしてなんとか乗り越えましょう。

食後に右側を下にして少し横になると楽になる場合がありますし、自分にとって楽な姿勢を見つけておくのもいいですね。

食事の工夫で対処できますが、ムカムカするからといって水分を取らなかったり偏食になりすぎないよう注意が必要です。