おりもの変化

妊娠中のおりもの
「おりものが増えたら妊娠??」
その傾向と対応策

女性の体はデリケートで生理周期があるように、実はおりものにも変化があります。

おりものは下着を汚してしまうなどのわずらわしいイメージかもしれませんが、体の状態を教えてくれるバロメーターなんですよ。

妊娠するとおりものにも変化がみられます。

様子をみてもいいものや受診が必要なものなどがありますので、自分のおりものの状態を把握することが大切です。

<おりものとは?>

子宮頸部、子宮内膜、バルトリン腺など膣から分泌されている粘液のこと

女性ホルモンのエストロゲンの影響を受けて一定の周期があります。
色やにおい、量が変化しているのです。

<2つの役割>

①膣を守る!自浄作用

膣の中にはデーデルライン桿菌(かんきん)という常在菌がいます。

乳酸を分泌して膣の中を酸性に保つことで、雑菌の侵入や増殖を防いでいます。

②受精を助ける

性交痛を防いで、精子が膣から子宮を通って卵子までたどり着けるような潤滑油の役目。

排卵期におりものが増えるのはこのためで、アルカリ性の頸管粘液が受精を助けてくれます。

<おりものの変化>

生理後(卵胞期)~量は少なくサラっとしている。
排卵期~量が増え、卵白のようにトロっとしている。

無色透明で糸を引くようなもので2~3日続く。
排卵後(黄体期)~量はだんだんと減り、少しずつ白く濁っていく。

生理前~量が再び増え始める。白く濁りにおいも強くなる。

女性ホルモンのピークである20~30代はおりものの量も多く、おりものの周期も安定しています。

40代以降は女性ホルモンの量が減っていくことから、おりものの量も減っていきます。

閉経後2~3年ではほとんど分泌されなくなります。

<妊娠でのおりものの変化>

妊娠すると女性ホルモンのエストロゲンが増えるため、おりものの量が増えてきます。

普段なら排卵期を過ぎるとエストロゲンとともにおりものも減少するはずですが、減らなかったり増えた感じがします。

★妊娠中のおりものの特徴

   増える
   乳白色、体調によって変化することもある
におい 酸っぱいようなにおい、アンモニア臭

水っぽいトロンとしたゼリー状

<おりものだけでは判断できない~妊娠初期の症状>

①おりものが変化

量が増えた、ピンクや茶色になった(着床出血*1)
ホルモンの影響で水っぽいトロンとしたおりものになります。

②頭痛がする

高温期が続くことで体温が1℃ほど上昇しているため、
風邪症状のように感じることもあります。

鼻水がでる、体がだるいなど

③やたら眠たい

女性ホルモンのプロゲステロンの影響により、
十分な睡眠時間があっても眠たくてしかたないこともあります。

④乳房の張り、乳首の変化

乳房や乳頭が敏感になり、かゆみや痛みを感じやすくなる人もいます。

⑤腰痛

妊娠中に分泌されるホルモンでリラキシンの影響。

妊娠を維持するために骨盤や靭帯を緩めることで、結果骨盤が歪み腰痛になることもあります。

⑥嗅覚の変化

つわり症状のひとつでもありますが、今まで平気だったにおいが嫌になったりすることもあります。

⑦腹痛

子宮が大きくなることで内部が圧迫され、下腹部の痛みを感じることもあります。

⑧肌トラブル

プロゲステロンが急増することでホルモンバランスが崩れ、肌荒れを起こしやすくなります。

⑨お腹の張り、便秘、下痢

プロゲステロンの影響により便秘になりやすく、ガスも貯まりやすい状態になります。

⑩息切れ、立ちくらみ

妊娠によって血液量が増え、血圧が下がることで立ちくらみを起こしたり、貧血気味になり息切れを起こすことがあります。

⑪イライラ、情緒不安定

ホルモンバランスの崩れによるものや妊娠にまつわる不安やストレスが影響し、いつもより精神的に不安定になりやすいです。

⑫生理が遅れる・基礎体温の高温期が続いている

通常、生理が始まって約14日後に排卵が起こり、高温期となります。

2週間ほど続いた後は妊娠していない場合、基礎体温は下がりますが、妊娠している場合は高温期が継続します。

<注意したいおりもの>

受診が必要なものは把握しておきましょう。

色や量、においなどで判断するのできちんと観察することから始めましょうね。

①カッテージチーズや酒粕のように白くてポロポロしている(カンジダ膣炎)

膣内にカビの一種である真菌が繁殖して炎症を起こします。

常在菌ですが、抵抗力が落ちたり、抗生物質の使用で膣の自浄作用が落ちる、妊娠でホルモンバランスが崩れるなどで発症するもの。

そのほかの症状は外陰部のかゆみがあります。

膣の中を洗浄し、抗真菌剤の錠剤を膣内に挿入して治療します。

外陰部のかゆみにも抗真菌薬の塗り薬で対応できますが、ステロイドや市販薬の使用により、悪化することがあるので産婦人科を受診しましょう。

②おりものの量が増える(クラミジア感染症)

性感染症のひとつ

自覚症状がなく感染後3週間ほどして下腹部痛が起こることも多い。
治療が遅れると流早産や不妊症の原因になることもある。

治療は抗生剤を使用し、パートナーの感染率も高いことからお互いの治療が必要です。

③おりものの色が黄緑色で悪臭がする(淋菌感染症)

性感染症のひとつ

オーラルセックスによって口腔内にも感染する可能性がある。
感染して数日後にはおりものの変化や外陰部のかゆみが出てくる。

女性は気付かないことが多く症状はほとんどない。

男性は尿道炎をおこし膿が出ることもある。
治療は抗生剤の点滴が増えています。

④おりものが泡状で黄色~緑色になり生臭い(トリコモナス膣炎)

トリコモナス原虫が膣内に寄生するため
性感染症のひとつ

まれに便座やお風呂場などから感染することもある。
抗トリコモナス薬を膣内に入れて治療し1~2週間で治癒する。

⑤おりものの量が増え、黄色~茶色で悪臭がある(非特異性膣炎)

特定の病原菌ではなく、大腸菌やブドウ球菌などによっておこるもの。

膣の自浄作用の低下やホルモンバランスの乱れによって雑菌が繁殖しやすくなる。

治療はいずれも膣内を洗浄し抗生剤の膣剤を挿入
1~2週間で治癒

⑥水っぽいおりものが増える(子宮筋腫)

子宮筋層にできる良性の腫瘍

筋腫ができる場所によっては子宮内膜がただれて水っぽいおりものになることもある。

40歳以降の女性の半数にあるとされている。筋腫の大きさによっては月経過多や不正出血が起こることでおりものにも血液が混じることがある。

⑦茶褐色~黒褐色で粘り気のある悪臭を伴うおりもの (子宮頚ガン*進行したもの

初期ならばほとんど症状はありません。

進行すると、性交時の出血や不正出血、下腹部痛、背骨の痛みなどがでてきます。

<おりものと上手に付き合うポイント>

①清潔にする

デリケートゾーンはムレやすいため、雑菌が付着しやすいです。
おりものシートはこまめに取り替えて清潔を保ちましょう。

くれぐれもつけっぱなしにしないように気を付けましょうね。

可能であれば、布タイプのおりものライナーだと、お肌への刺激も少なく快適ですよ。

*デリケートゾーンはゴシゴシと洗うのではなく優しく洗うこと!

膣は自浄作用があるので中まで洗う必要はありません。
刺激が少ないのでシンプルな石けんがオススメ。

②通気性のいい下着にする

おりものが増えると下着がムレてかゆみが出てくることもあります。
コットン100%の下着にしたり通気性のよいものにしましょう。

締めつけないようにガードルやスリムなパンツスタイルよりも、ゆったりしたスカートにするのも◎

③おりものを観察する

できれば妊娠前からおりものの変化を知っておくことが理想です。

妊娠してからも変化するものなので観察し、いつもと違う色やにおいがする場合は、妊婦健診の時に診てもらいましょう。

<まとめ>

おりものの変化は女性にとって大切な健康のバロメーターです。

人とは比べないこと!

個人差が大きいので、普段から自分のおりものの周期や状態を知っておくことが大切です。

体調にも左右されますが、受診が必要なものもあるのできちんと観察しておきましょう。