「できればおっぱいで…」
母乳育児は妊娠中から始まっている
妊婦健診でも母乳育児への思いは確認されると思います。
産後の仕事復帰が早いから混合希望だったりミルクでいきたい人もいるでしょう。
でも一番多い回答は「できれば母乳で…」というなんとも曖昧なお返事。
そりゃ、おっぱいが出ればいいですけど、、、
そもそも母乳って自動的にピューピュー出るものではないですから、妊娠中からのお手入れが大事なんです。
そして、産後もケアが必要ですし、赤ちゃんとの練習だって必須です。
こんなことをいうと、大変そうだなと思われてしまうかもしれませんが、そんなことはないのでご安心を!
そのためのアドバイスです。
<母乳のメリット>
ママにとってのメリットからみていきましょう。
①赤ちゃんと肌と肌のふれあいタイムができ、絆が深まる
②いつでもどこでも授乳ができる
③調乳や消毒の必要がなくラクチン
④コストがかからず経済的
⑤子宮の収縮を促してくれる
⑥エネルギーの消費によってダイエット効果?!
⑦ママの乳がんや子宮がん、骨粗しょう症の予防
次は赤ちゃんにとってのメリットとは?
①赤ちゃんの成長に合わせた成分になっている完全栄養食だから、消化しやすい
②母乳に含まれる免疫のおかげで感染症にかかりにくい
③新鮮!!
④衛生的
⑤ママとのスキンシップで安心感アップ
⑥あごの筋肉を使うのであごが発達する
⑦乳幼児突然死症候群の予防
⑧肥満や糖尿病の予防
<母乳育児のデメリット>
①赤ちゃんにとって消化がいい、すぐお腹が空くために授乳回数が多くなってしまう
②授乳回数が増えることで、ママの体が休まらない
③睡眠不足
④乳腺炎などのトラブルのリスク
⑤哺乳量が計れないので母乳が足りているのか不安になってしまう
⑥外出先に授乳室がないなど授乳場所に困ることがある
⑦赤ちゃんを預けて出かけにくい
⑧母乳にはビタミンKが少ないので補う必要がある
<妊娠中のお手入れ>
①ノーブラ or ノンワイヤ―の授乳用ブラ
ワイヤー入りのブラジャーは封印です。
乳腺の発達を邪魔しないように、常におっぱいがユサユサとなるように。
②妊娠20週を過ぎたらお手入れスタート
つわりも治まってきたらおっぱいのお手入れを始めていきましょう。
お風呂で優しく洗ってあげることから始め、白くカスのようになっていたら、ふやかしてからガーゼなどで拭き取りましょう。
無理にゴシゴシこするのはNG
③妊娠30週を過ぎたらマッサージスタート
妊娠中期でお腹の張りもなく順調でしたらいつでもOK
乳輪から乳頭の先までをマッサージしていきます。
お風呂上りやお風呂で行うといいですね。
親指・人差し指・中指の3本が乳輪~乳頭の先まで密着するように3秒圧迫。
少しつまむ位置をずらしてまた3秒。
少しずつ位置をずらし全体的にほぐしていきます。
はじめのうちは乳頭が硬いので痛いかもしれません。
少しずつ慣らしていきましょう。
いろいろなマッサージ方法がありますが、乳輪と乳頭がほぐれてフワフワになっていれば赤ちゃんは飲めますから、まずはここから始めていくといいですよ。
オイルパックもオススメです。
昔からよく使われている馬油(バーユ)や透明の太白ごま油を、化粧用のコットンに含ませパックします。
入浴の20~30分前にしておけば、お風呂場でそのままマッサージもできます。
乳頭の先についているカスもとれやすくなっているはずです。
パック中はブラジャーがオイルで汚れてしまうためタオルで保護しておくといいですね。
<赤ちゃんが生まれたら…>
①出生後2時間以内におっぱいを吸ってもらうこと
理想は30分以内に!
出産はママにとっても赤ちゃんにとっても一大イベントです。
産後すぐ、生まれてすぐはお互いに興奮状態です。
この時期におっぱいを吸ってもらうことで、母乳育児のスイッチがオンになります。
実際におっぱいが出ていても、出ていなくても関係ありません。
とにかく吸ってもらうことが大事なんです。
ちなみに、赤ちゃんは3日分の水筒とお弁当を持って生まれてくると言われています。
出生後2~3日ごろに、生理的体重減少といって生まれてきたときよりも体重が減るものです。
その間、十分なおっぱいが出ていなくても大丈夫なように蓄えてきて生まれているんです。
赤ちゃんってすごいですよね!
その3日間の間に、どれだけおっぱいを赤ちゃんに吸ってもらえたかが重要で、吸われていればいるほどおっぱいは作られていきます。
吸われたらすぐ出るものではないということ、つまり時差があるということす。
その時差を解消できるように赤ちゃんはちゃんと準備していますから焦らずにいきましょうね。
②赤ちゃんが泣いたらおっぱい、泣いたらおっぱいのリズムで
昔から授乳は3時間おきといわれていますが、そんなのウソ!!
実際はもっと短い間隔のことが多いです。
母乳育児のママは1日に10回以上授乳していることなんて普通です。
赤ちゃんは泣くことでしか表現することができませんが、ほとんどの場合オシッコorウンチorおっぱいのどれかが理由で泣いていますから初めてのママでもわかるはずです。
なのでおっぱいだと思ったらすぐに吸わせてあげてくださいね。
赤ちゃんの体調やご機嫌によっては、口に含んだら安心して寝てしまうときもあるでしょう。
それはそれでよし!
赤ちゃんが欲しがったら上げることが大事です。
だから3時間おきに授乳になるなんてないということです。
逆に3時間以上寝てしまっているときは起こしてもいいですね。
でも、赤ちゃんは自分に必要なおっぱいの量を知っているので1日トータルではしっかり飲めていることもありますから、焦らないことも大切ですね。
生まれたばかりの赤ちゃんのオシッコは1日6回以上であれば、おっぱいが足りている証拠ですよ。
③添い寝&添い乳
ママも横になり、赤ちゃんと一緒に寝転がってあげるおっぱいのことです。
入院中はNGな施設もありますが、退院後は是非チャレンジしてくださいね。
やり方がわからない人は入院中に相談して、練習しておくと安心です。
3時間おきではなく、もっと細かい間隔で授乳になりますから毎回起きて授乳していてはママもクタクタです。
そんなときにオススメなのが、添い乳です。
特に夜中の授乳ではとってもラクチンですよ。
寝ぼけていてもちゃんと赤ちゃんはおっぱいを見つけて飲んでくれます。
ママがそのまま寝てしまっても、赤ちゃんをつぶしてしまったなんて人は今までみたことがありません。
私でさえないですから大丈夫です!
ママは自然と本能的に赤ちゃんを守れるようになっているんですね。
④食事やおやつは気を付けて
ママが食べたものは母乳にも影響していきます。
直接関係ないというデータもありますが、経験からいうととっても密接にかかわりあっていると思います。
身体を冷やすものばかり食べていてはおっぱいも冷えます。
冷たいおっぱいは美味しくないですから、赤ちゃんも嫌がります…
そんなときの赤ちゃんのサインは
・乳首を噛む
・うまくくわえられずにイヤイヤする
・歪み飲み
・乳首を引っ張る
などです。
また、湿疹が出るなどの症状も出てくることがあり赤ちゃんを見れば美味しいおっぱいが出ているか判断できますよ。
また油っこい食事や動物性のものばかりでは乳腺炎のもとになることもあります。
疲れやストレスから甘いものを食べたくなっても、何を食べるかはきちんと選んでくださいね。
乳腺炎予防のためににも、美味しいおっぱいのためにも気をつけたいものです。
入院中の差し入れは要注意です!
甘いものは家族に食べてもらいましょうね。
<おまけ~乳腺炎かも?と思ったら>
乳腺炎になってしまうと本当に痛いです!!
炎症がひどくなってしまうと、乳輪を切開して膿を出すことも…
想像しただけで痛いですよね。
ここまでひどくなることは稀ですけど、乳腺炎にならないことが大前提です。
でも、もしなってしまった時は早めの対処が大事!
*乳腺炎の症状*
①おっぱいがパンパンに張る
②痛い!
③熱が出る 40℃近いことも!
*こんな症状の時は要注意~乳腺炎の一歩手前*
①乳首の先が白くなる
②肩甲骨まわりがこる
③しこりがある
④赤ちゃんが乳首を噛む
⑤赤ちゃんが乳首を引っ張って飲む
⑥飲みながらおっぱいを叩いたり、爪を立てる
*おうちでできる対処法*
①食事をシンプルにする
おかゆと梅干のみ!1食でも1日でもOK
きっと美味しく感じると思いますよ!
水分はお白湯だとさらに◎
②体を温める
入浴はNG
おっぱいを直接温めると余計に張ってきますので足湯がオススメ
靴下を履いたり、湯たんぽやカイロも◎
温める場所は足・腰・肩甲骨の間・下腹部
③授乳は続ける
痛くても溜まったおっぱいを飲んでもらうことが大事です。
しこりを揉んだり、刺激しないこと!
搾乳も無理にしないこと!搾乳器は乳腺を傷めてしまうこともあるので控えて、母乳外来で搾乳してもらいましょう。
<まとめ>
母乳育児に関する考え方は本当にたくさんあります。
私もいろんなものを学んできましたが、今思うのはひとつに執着しすぎないことが大事なのではないかと思います。
ストイックに食事制限しても納得していなかったり、渋々だったら母乳育児は楽しくないです。
ポイントをおさえて、楽しく授乳できることの方が大切なんです。
美味しいおっぱいをあげるためには、妊娠中からお手入れが必要です。
ママも赤ちゃんもラクチンなこと。
母乳の分泌が軌道に乗ってくるのは、個人差が大きいです。
入院中に軌道に乗り始める人もいるし、産後3か月で…という人もいます。
ママの体調にも大きく影響しますから、きちんと休養をとってコンディションを整えることが先決です。
また赤ちゃんの体重や体調、ご機嫌にも左右されますから気長にいきましょう。
軌道に乗ってくると「張らないけどよく出るおっぱい」になってきますよ。
逆に張ってくるのは食事の見直し時かもしれませんね。
乳腺炎の可能性もあるので、おっぱいの状態を観察することはとっても大事なことです。
母乳育児は自動でスタートできるものでもないですし、維持もできません。
ママの心がけは必須です。
ストイックになりすぎず力を抜いて…ぜひ、授乳ライフを楽しんでくださいね!
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