意外と多い?!
妊娠中のお尻のトラブル「痔」
その傾向と対応策
恥ずかしくてなかなか人に相談しにくい、お尻のトラブル!
妊婦さんに多いのは「いぼ痔」「切れ痔」がほとんどです。
85%もの妊婦さんが「痔」になるというデータも出ているくらいです。
初期はあまり症状がなくても悪化すると、肛門の外に出てきてしまったり痛みもひどくなるなど、外科的な処置が必要になることもあるので注意しましょう。
妊娠後期など腸や肛門を圧迫することで「痔」になりやすいですが、必ずしもみんなが痔になるわけではないです。
もともと便秘がちだった人や、デスクワークの人、ストイックなダイエットをしていた人などは注意するといいですね。
「切れ痔」を患っている人のうち慢性の便秘だった割合は64%とも言われています。
それほど、お通じとの関係性が深いということですね。
お産でいきむことで痔になったり悪化することもありますが、産後2カ月以降に軽快することが多いのでご安心を!
まずは「痔」にならないように過ごすことが大切です。
お尻(肛門)ってどうなってるの?
肛門の粘膜の下には網目状の静脈が張り巡らされています。
(直腸静脈叢)
肛門を閉じるための柔らかいクッションの役割を果たしてくれています。
妊娠することで肛門周囲の血流が悪くなり、この静脈がうっ血することで痔になりやすくなります。
タイプは大きく分けて3つ
1.肛門の中の歯状線にとどまっているタイプ(内痔核)
2.肛門の中の歯状線より外に出ているタイプ(外痔核)
3.肛門の粘膜や皮膚が切れて、痛みや出血を伴うもの(裂肛)いわゆる切れ痔
<原因>
①妊娠によるホルモンの影響
プロゲステロンといホルモンが増え、腸の働きが弱くなってしまうことで便秘になりやすい状況になります。
さらにいきむクセがついてしまい、余計に圧迫してしまうと悪循環になりやすいです。
②子宮が腸を圧迫してしまう
子宮はどんどん大きくなっていくので、腸を圧迫していきます。
また、赤ちゃんの頭なども圧迫の原因になります。
圧迫されることで肛門周囲がうっ血して痔になりやすいです。
③妊娠特有の物質により血栓ができやすい
お産に備えて出血を止めようとする働きがあり、いつもより出血を止める物質が増えることで血栓を作りやすいことも原因の一つです。
④心理的なもの
赤ちゃんがいるからいきむのが怖い、外出先では便意を我慢してしまうなどは便秘の原因にもなります。
その結果、便が硬くなり肛門周囲を傷つけてしまうのです。
不安なことがあると自律神経も乱れるため、便秘になりやすい状況になってしまうのでストレス発散も大切になってきますね。
<症状>
・排便時の出血
・便が残っている感じがする、違和感
・肛門から痔核が外へ出ている
実はこんな症状も?!
・お尻がムズムズする
・重いものを持ち上げる時などにお尻に痛みを感じる
・痛みもなく、トイレットペーパーに血がついた
・排便痛がありトイレに行きたくない
<治療>
一番はお通じのコントロールをすること
そのために食生活などを見直すことで改善されることがほとんどです。
妊娠中は痔になりやすい、悪化しやすい時なので、痔を治すというよりもうまくお付き合いしていくというイメージで焦らずいきましょう。
・生活習慣の見直し
食事やお通じコントロールなどを整えましょう。
・薬物療法
炎症を抑える外用薬やお通じをコントロールする内服薬
妊娠中に使える薬は限られています。
市販薬を使うのも可能ですが、まずは妊婦健診で相談してから購入すると安心ですね。
受診して赤ちゃんに影響のないものを処方してもらいましょう。
産婦人科以外の病院へ受診する場合は、必ず妊娠中であることを伝えるのをお忘れなく!
・外科処置、手術
よほどのことがない限り、緊急性はありません。
産後落ち着いてからでもできるので、まずは悪化させないことが大事になってきます。
<予防・お手当て>
まずは予防が大切です。
毎日のことなので意識していきましょう。
①食物繊維をたっぷり摂る
つわりがおさまったら不規則な食事を控え、バランス良く食事しましょう。
食物繊維は腸内で膨らんで、便の量を増やしてくれます。
また便を軟らかくしてくれます。
イモ類、豆類、海藻類を心がけましょう。
水分が足りないとお腹が張ってしまうことがあるので、しっかり水分もとることをお忘れなく!
②水分をたっぷり摂る
1日1.5~2リットル目標!
できれば体を冷やす冷たいものよりホット、または常温がいいですね。
可能であれば、カフェインレスのものだと赤ちゃんへの影響もなく安心です。
③便秘や下痢を予防する
便秘をするといきむ習慣にもなるため、ツルンと出る習慣を!
便意を感じたらトイレに行くことも大事です。
我慢していると便秘に繋がります。
④お尻を清潔にする
シャワーだけではなくお風呂に入ることで、血行がよくなります。
またウォシュレットを使うことで雑菌の繁殖も防ぐことができます。
⑤トウガラシなどの刺激物は控える
お酒や香辛料の刺激物は肛門を刺激します。
禁止ではありませんが、妊娠中はいつもよりデリケートなのでほどほどに。
⑥適度な運動をする
立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢を続けると肛門がうっ血しやすくなります。
妊婦だからと必要以上に安静にしなくても大丈夫です。
無理のない範囲で運動することで血行が良くなり、筋力低下にもなります。
マタニティヨガやマタニティスイミングなどにチャレンジするのも楽しいですよ。
気分転換にもなるので是非試してくださいね。
⑦体を冷やさない
冷えは大敵です!
便秘の原因になりやすく、血液循環が悪くなり痔を悪化させてしまいます。
⑧自己判断は禁物!早めに受診
出血が続いた場合などで、もしかしたら大腸がんなど他の病気が隠れていることも可能性としてあるので、気になる時は早めに受診しましょう。
まずは妊婦健診で相談するのがいいでしょう。
場合によっては肛門科を紹介されることもありますが、きちんとケアすることが大切です。
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