動悸

座っているだけでも動悸・息切れ?!
その傾向と対応策

妊娠中の血液量は非妊時の1.4倍に!

血液中の水分量は1.5倍になるのに対し、赤血球は1.2倍で「血液が水っぽく薄まった状態」になります。

血液量が増えるのはお産のときの出血に備えているんですね。

心拍数(脈拍数)も増え、心臓が1分間に押し出す血液量も非妊時より40%アップ!

妊娠30週前後は心拍数が最大になります。
呼吸数も15%増えます。

ドキドキ、ハアハアしやすい状態ということですね。

妊娠後期にもなると赤ちゃんも大きくなり、お腹はグンと大きくなります。

体重が増えることで心臓への負担も増えるため、体重コントロールも影響します。

脈拍数が100回/分以上だと頻脈とされますが、動悸の感じ方は個人差が大きいのも事実。

では動悸や息切れの原因や対処法についてみてみましょう。

<原因>

①血液量の増加

妊娠後期はお産に備えて血液の全体量が増えます。

心臓への負担が増えることで、血圧が上がったり息苦しくなることがあります。

妊娠中に増加した血液は、産後1~2か月で元に戻るといわれています。

②胃などの臓器を圧迫している

大きくなった子宮が横隔膜や上下の臓器を圧迫することで息切れしやすくなります。

横隔膜で押された肺はつぶれたようになるので体積が減り呼吸が浅くなりがちです。

食後は圧迫された胃によって起こることもあります。

③ホルモンの影響

女性ホルモンのプロゲステロンの影響を受け自律神経が乱れ、呼吸が増えることで息苦しくなることも。

これは生理的な変化なので避けて通れない部分でもあります。

④貧血(おもに鉄欠乏性貧血)

妊娠中は血液が水っぽくなり貧血の状態になります。

重度になると治療が必要になりますが、その症状のひとつに息苦しさがあります。

赤血球が不足し全身に十分な酸素が遅れないことでだるさ・息苦しさを感じます。

⑤精神的な理由

妊娠中は何かと不安なことがありますが「不要な不安」は必要ないですよ。

生理的なドキドキがきっかけで過呼吸発作・パニック発作を引き起こすことも…

そのようなときは呼吸をゆっくりして「吐く息に集中」「長く吐く」といいです。

日ごろからリラックスして気分転換することも大切ですね。

パニックを繰り返す場合などは、心療内科を勧められることもありますが、信頼できるパートナーや家族との関わりも大事になります。

⑥その他の原因

甲状腺機能亢進症や不整脈・不眠でも動悸は起こります。

お腹の張りが強く切迫流早産の治療薬を内服しているときは副作用のひとつで動悸があります。

<対処法>

①まずは休むこと!

可能であれば横になり楽な姿勢になりましょう。
ソファの背もたれに寄りかかるなどでも違いますよ。

横になる時は抱き枕やクッションを使って楽な姿勢を見つけましょう。
妊婦さんにオススメの「シムス位」は覚えておくといいですね。

仕事をしている女性は上司に伝えて休息がとれるようにしましょう。
通勤時間によっては電車で座れないこともありますよね。

母性健康管理指導事項連絡カード」を職場で記入してもらえば、状況によりますが休憩時間の延長や業務の変更などができます。

厚生労働省が定めている「母性健康管理に関する企業の義務」によるもので、パートや派遣に関わらず利用できる制度なので活用するのも◎

遠慮せず堂々と!
自分の体は自分で守りましょう。

②深呼吸をする

息苦しい、ドキドキするときは精神的にも不安になりやすく、ますます悪化することがあります。

大きくゆっくりとした呼吸をしましょう。
ポイントは吐くことに集中すること!

息を吐き切ることで自然と大きく吸えるようになります。

逆に吸うことに集中すると過呼吸になったり、うまく吐くことが難しくなる場合があるので、まずは「吐くこと

③リラックスしてストレスをためない

浅い呼吸は精神的にも焦ってしまい悪化させるので、深い呼吸でリラックスしましょう。

ヨガやスイミングはオススメ。

④きちんと妊婦健診を受けること

当たり前のことですが、正常範囲内のものなのか異常なもの・治療が必要なものなのかを診断するのは先生です。

気になる症状があるときは遠慮せずに伝えましょう。
治療が必要な場合も早期発見が大事です。

⑤貧血予防

貧血も影響するため、予防が肝心です。
おもに食事で鉄分の補給をしましょう。

詳しくは「貧血」のページへ

<まとめ>

妊娠中の動悸・息切れは生理的な変化でもあるので休んで治まるのであれば様子をみましょう。

いい意味での諦めも必要です。

おなかの赤ちゃんには直接影響はないとされているので心配はいりません。

ただ、貧血やそのほか大きな病気が潜んでいることもあるので、妊婦検診のときに先生へ報告するのがいいですね。

場合によっては治療が必要なことがあります。