妊娠中は足がつりやすい?
こむら返りについて
その傾向と対応策
妊婦さんの40~60%に足がつりやすいというデータがあります。
妊娠が進むにつれてその頻度は高くなり、特に夜間眠っているときにつりやすいので寝不足になるなどの支障が出てくることもあります。
足がつるというのは、腓腹筋という「ふくらはぎ」の筋肉がけいれんすることです。
自分の意志とは関係なく突然起こるので心配ですよね。
昔はふくらはぎのことを「こむら」と呼んでいたことから「こむら返り」と言われています。
<原因>
実ははっきりとした原因は解明されていませんが、様々なことが関係しています。
①体重増加、骨盤のゆるみによる負担
大きくなったお腹を支えたり、重心のバランスを取ろうして足には負担が増えてきます。
妊娠中に分泌されるリラキシンというホルモンの影響で骨盤は緩んだ状態です。
そうすると脚の筋肉は引き延ばされるため、元に戻そうとする力が働き負担が増えてしまいます。
②足の血流の変化や冷え
女性ホルモンのプロゲステロンによって静脈が拡張しやすくなり、血流が悪化します。
大きくなった子宮によって、静脈が圧迫されることも一因で静脈瘤がある人は要注意です。
③血液が薄くなる
妊娠後期は特にお産のときの出血に備えるなどの理由で、血液そのものが薄まっている状態です。
そうすると浸透圧の低下が起こりけいれんの原因になることも。
④カルシウムやビタミンDの不足
栄養のバランスがとれていないと不足して、けいれん発作を起こしやすいことがわかっています。
⑤運動不足
血流が悪くなり筋肉の柔軟性が落ちてしまいます。
⑥病気などその他の原因
脱水、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、血行障害など
<足がつりやすい人ってどんな人?>
・急激な体重増加
・赤ちゃんが大きい場合
・運動不足による血流が良くない場合
・下肢静脈瘤
時間帯は夜間寝ているときに起こりやすいです。
夕飯で摂取したミネラルや糖の血中濃度が落ちてくる時間帯に起こるといわれています。
また睡眠中は水分も不足しがちなことも原因になっています。
<対処法>
①けいれんしている筋肉を伸ばすこと
つま先を上に向けてふくらはぎを伸ばすのが◎
足指を手で手前に引くのも効果的ですが、手が届かない場合はタオルを足裏に引っかけるとできます。
また脚を伸ばした状態でひざ頭を上から下に向かって押すのも◎
歩ける程度であれば、頑張って歩いてみましょう。
自然と筋肉が伸びてストレッチになります。
②マッサージ
痛いからと言って、強いマッサージでほぐすのはNG
余計に痛くなることがありますので、優しくさする程度にしましょう。
③温める
タオルを濡らしてレンジで温めたものを痛みのある部分に当てる。
足湯なども効果的です。
また湿布は妊娠中には使えないものもあるので安易に使うのはやめましょう。
どうしても痛みが治まらないときは医師に相談しましょう。
<予防法>
①体重コントロール
急激な体重増加は脚にも負担が大きくなってしまうだけでなく、様々なトラブルの元です。
②適度な運動で血流アップ
無理のない範囲でストレッチやヨガなどを行いましょう。
脚を伸ばして座り足先を上下させるなど、ふくらはぎの筋肉が伸びるようなストレッチが◎
座ったままできるのでテレビを見ながらでも!
イスに座って足首をクルクル回すのも効果的です。
③靴は歩きやすいものを
3㎝くらいの太めのローヒールが歩きやすく、脚への負担も軽くなります。
フラットすぎるものは、かえって重心のバランスがとりにくくNG
④ミネラルを意識した食事
ビタミンB1、ビタミンD、カルシウム、マグネシウム、カリウム
といったミネラルは野菜などからしっかりと摂りましょう。
また、カルシウムの排泄を促してしまうリン酸を含むもの
(ハムなどの加工食品、添加物)は控えましょう。
☆ポイントは「カルシウムとマグネシウムの両方を摂取すること」
・マグネシウムを多く含むもの
納豆、油揚げ、しらす干し、アサリやハマグリ、
桜エビ、海藻類(あおさ、ワカメ、ひじき)
・カルシウムを多く含むもの
小松菜、モロヘイヤ、大根やカブの葉、
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)、
煮干し、ゴマ、豆腐、高野豆腐
・亜鉛を多く含むもの
貝類、レバー、切り干し大根
・カリウム
バナナ、プルーン、アボカド、イモ類
…結局はバランスよく食べることが一番です!
⑤水分の目標は1.5~2ℓ/日
水分不足もけいれんの原因になります。
体を冷やさないように常温、ホットドリンクが◎
寝る前にはコップ1杯の水分補給もお忘れなく。
⑥足を冷やさない
血流が滞ってしまうため、足は温めましょう。
レッグウォーマーは妊婦さんの必需品です。
入浴中のふくらはぎのマッサージも効果的です。
⑦マッサージ
強く指圧するのではなく、手のひら全体でさするようにマッサージしましょう。
皮膚の摩擦を防ぐためにも
ボディオイルなどを使うと◎
弾性ストッキングも同じようなマッサージ効果があります。
⑧寝るときの姿勢を工夫する
脚を少し高くすることで血流がよくなり予防になります。
妊娠後期はシムス位といって、横向きに寝て脚の間にクッションを挟むのも◎
<まとめ>
大きくなったお腹が血管を圧迫して血流が悪くなったり、様々な原因で起こるこむら返り。
突然のけいれんと痛みは怖いですよね。
日常生活の中で脚のケアを取り入れ、予防していきましょう。
夜中に起こることが多いので、ダンナさんの協力も得てマッサージしてもらうのもいいですね。
歩けないほどの痛みが続くなど日常生活に支障が出てくる場合は受診してみましょう。
まずは産婦人科で相談して、整形外科を受診しましょう。
妊娠中であることを伝え忘れないように!
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