
流産ってどんなもの?
私は大丈夫??
その傾向と対応策
「流産」と聞くと心配になってしまいますよね…
実は15~20%の人に起こるといわれています。
40歳以上の場合は25%とちょっぴり高くなってしまいます。
たくさんお子さんがいらっしゃる方でも実は流産を経験していたりするんですよ。
6人に1人が流産経験者と言われているんです。
せっかく授かった赤ちゃんが、流産でお別れしなくてはいけないのは、
悲しいことですが、自然界では避けて通れないことのひとつなのかもしれません。
では流産にはどんなものがあるのか、予防はできるのかなどみていきましょう。
★流産とは??
妊娠22週未満の時期に赤ちゃんが亡くなること
妊娠12週未満 「早期流産」
妊娠12~22週未満 「後期流産」
(妊娠22週以降は死産と呼びます)
<流産の種類>
・自然流産
人為的ではなく起こるすべての流産
・人工流産
人工妊娠中絶
母体保護法のもと指定医によって行われる手術
・切迫流産 *1)
妊娠20週未満で流産に差し迫った状態のこと。
子宮頸管が開いていない状態で出血や痛みを伴う。
・進行流産
妊娠20週までに子宮頸管が開き、出血や痛みを伴い自然に赤ちゃんが生まれようとしている状態。
・完全流産
赤ちゃんと胎盤が子宮の外へ完全に排出された状態
出血や痛みは治まっていることが多い。
・不完全流産
赤ちゃんや胎盤の一部しか子宮の外に出ていない状態
・けい留流産
亡くなった状態の赤ちゃんが子宮内にとどまっている状態
・反復流産
自然流産が2回連続 2~5%に起こるといわれている。
・習慣性流産
自然に出てこない時は自然流産が3回以上
1%程度に起こるといわれている。
この場合は「不育症」の検査をしてもいいかもしれません。
原因の確定は両親ともに必要で一部の原因については治療可能とされています。
・感染流産
子宮内の感染による流産
母体死亡リスクが高く慎重な管理が必要
・化学流産
妊娠のかなり早い段階での流産
市販の妊娠検査薬で陽性になったものの、超音波検査では妊娠を確認できない時期に起こるもの。
市販の妊娠検査薬が普及してきた影響が大きく、検査薬の使用をしていなければ通常の生理と思われることがほとんどです。
*完全流産・化学流産の場合はとくに治療は必要ありません。
*不完全流産・けい留流産の場合、発熱がない・全身状態に問題がなければ自然に出されるのを待ちます。
自然に出てこない場合は外科的処置や陣痛誘発剤を使用します。
<症状>
・性器出血
・腹痛
生理痛のようなシクシクする痛みなど。
痛みがない場合もある。
<原因>
ほとんどの場合は原因不明とされています。
妊娠12週未満 ~ 受精卵の染色体異常
妊娠12週以降は母体側の原因が増えるとされています。
母体側の原因
・子宮筋腫
・双角子宮
・頸管無力症
・子宮内感染
・コカインなどの薬物使用
・飲酒や喫煙
・母体の内分泌
・免疫系、凝固系の異常
・甲状腺機能低下症
・甲状腺機能亢進症
・糖尿病
・慢性腎臓病
・全身性エリテマトーデス
・高血圧 など
適切な治療がされていなくてコントロールできていない場合
<診断>
内診
超音波診断
血液検査
<治療>
流産となってしまった場合、子宮を妊娠前の状態に戻してあげる必要があります。
まれに処置がいらないこともありますが、受診して医師の指示に従いましょう。
・早期流産の場合
流産手術、子宮内容掻把術 ←保険適応
①子宮頸管の拡張
②麻酔(静脈麻酔)
血管注射による全身麻酔で眠ったまま処置を受けられます。
もちろん、処置の間の痛みはありません。
③子宮内の胎のう除去
機械による吸引
・後期流産の場合
死産分娩
陣痛誘発剤を使って陣痛を起こしお産となります。
自然分娩と同じくらいの入院、費用がかかります。
(出産一時金の申請が可能)
<流産後に気をつけたいこと>
心の変化について…
突然、赤ちゃんを失ったという喪失感は自然な反応です。
無理をして抑えたり否定せず、誰かに話したり泣くことはとても大切なこと。
人前で泣くなんて…そういった思いなどで自分の感情にフタをしてしまう「大人の女性」が増えてきているように感じます。
家族に限らず誰かに話したり泣くことで感情の整理ができます。
話すだけでも楽になれますから、こういうときこそ是非私を頼って下さいね。
また、ほとんどの女性がまた自然に妊娠し、継続できていることも知っておくことは大切だと思います。
つい自分を責めてしまいがちですが、自然の中で起こる避けて通れないこととして受け入れ罪悪感を抱く必要はありません。
流産してお別れしてしまった赤ちゃんのことは、「忘れる」「なかったことにする」のではなく、「ちゃんと私のお腹の中で生きていたんだ」と思ってあげて下さいね。
ちょっとだけ生まれてくるのが早かったと思って、きちんとお別れしましょう。
次回の妊娠についても不安と思いますが、自然流産から次の妊娠までの期間の長さと、次の妊娠成功率は関係ないといわれています。
長期間の避妊は必要ないということです。
また赤ちゃんがやって来てくれると信じて前を向いていきましょう。
<出血の原因>
・のちに胎盤になる絨毛(じゅうもう)や胎盤の部分的なはがれ
・絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)
・子宮筋腫
・感染症
・絨毛膜下血腫
赤ちゃんが入っている袋の一部が破れて、子宮内に血液が貯まってしまう「絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)」は要注意です。*2)
血腫が大きかったり妊娠14週頃に見られる場合はハイリスクとなります。
<治療>
・安静が第一!
お風呂やシャワーも控えましょう。
・薬物療法
子宮収縮抑制剤
止血剤
ホルモン剤
抗生剤(感染の場合)
確実な薬はないとされいて、妊娠12週までの予防薬はないといわれています。
安静にしていても確実に予防できるものでもありません。
無理をせず、ストレスを溜めないことも大切です。
★早産とは?
妊娠22週~37週未満の分娩のこと。
早産で生まれた赤ちゃんは、身体的な機能がまだ未熟なため、合併症などを起こす可能性があります。
生まれる週数が早いほど合併症のリスクが高まります。
★切迫早産とは?
早産になる可能性のある状態で、出血や痛みを伴います。
必ずしも早産してしまうとは限らず、治療することで正常な妊娠に戻ることも可能です。
<原因>
・動きすぎ、過労
・母体の病気(妊娠高血圧症候群・心臓病・腎臓病・糖尿病など)
・子宮筋腫・双角子宮・子宮頸管無力症・前置胎盤・常位胎盤早期剥離
・逆子(骨盤位)・双子など多胎妊娠・羊水過多
・感染
直接の原因とはされていませんが、冷えていることも影響しますので温かくしておきましょう。
<診断>
・内診
・超音波検査
・胎児心拍陣痛測定
モニターで赤ちゃんの心音の状態と、子宮の収縮の状態を確認するもの
・早産マーカーの検査
・血液検査
・膣内の細菌検査
<治療>
・一番は安静です
軽症の場合は自宅安静となりますが、お腹の張りが強かったり子宮頸管が開いてきていると入院することもあります。
・薬剤投与
・内服または点滴治療
・子宮収縮抑制剤
・感染の場合は抗生剤
・状況により止血剤
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