つわり


つわりってどんなもの?
どうやって乗りきればいいの?
その傾向と対応策


1)つわりとは?悪阻(おそ)

実は妊婦さんの80%の人が経験しています。

吐き気やムカムカで妊娠に気付く人も多いように割りとポピュラーですね。

主な症状は、吐き気・ムカムカ・だるさ・においに敏感など

尿検査や体重チェックで診断されます。

状況によって血液検査で脱水の具合や肝機能・腎機能障害のチェック

治療法は軽症であれば軽い運動や水分や栄養補給
口からとれない時には、電解質や糖分を点滴で補給します。

この時期はお腹の赤ちゃん(胎児)の器官形成期といって、神経などを作っている大事な時期です。

胎児奇形(催奇性さいきせい)のリスクがあるので、安易な薬物投与は控えます。

少量&短期間の投与にするべきとされています。
また漢方薬が比較的安全とされていて、使われることも多いです。

2)つわりの時期

では、いったいいつからいつまで続くのでしょうか・・・

始まり 妊娠5週くらいから
ピーク 妊娠8~10週
終わり 妊娠12~16週

胎盤が完成するころに落ち着いてくることが多いですが、個人差が大きいのも事実です。
なかにはお産まで続いたり、一旦おさまった後ぶり返すこともあります。

でも、必ず終わりが来るので大丈夫ですよ。

3)原因

赤ちゃんが育つように母体のホルモンバランスが大きく変化するため、母体が適応しきれないと言われていますが、実は科学的には解明されていないんです。

この時期は胎盤になる絨毛(じゅうもう)からホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン=hCG)が分泌されます。

つわりはこの影響を受けているからという説もあります。
それは、つわりのピークがこのホルモン分泌のピークと重なるからです。

またメンタル面も大きく影響していると考えられていて、ストレスが強い人ほどつわり症状が強く出ることもあり、心理的な要因もひとつです。

それだけ女性の心と体はデリケートということですね。

4)妊娠悪阻(にんしんおそ)について知っておこう

全妊婦さんの0.5~2%に起こると言われています。

食事や水分がほとんどとれなくなったり、体重が大幅に減ったりします。

また、脱水がひどくなり栄養状態も悪化してしまいます。
さらに重篤になると・・・合併症をひきおこすことも?

ビタミンB1 の欠乏で起こる意識障害(ウェルニッケ脳症)

症状としてはろれつが回らない、真っすぐ歩けないなど家族によって発見されることもあります。

その50%以上の確率でもの忘れ(逆行性健忘)や新しいことが覚えられない、作話などの後遺症が残ることがあります。(コルサコフ症候群)

尿検査で尿中ケトン体が陽性だと「妊娠悪阻」と診断され、強陽性だと入院管理が必要になってきます。

また、妊娠前より5%以上の体重減少がある場合重症と診断されます。

口からの水分・栄養補給が一番ですが、無理な場合は点滴で補います。

脳障害や神経にも影響が出てきてしまった場合は、母体を守るため人工妊娠中絶となることもありえます。

5)つわりの症状は大きく4パターン

症状は人によって様々で一人ひとり違います。
本当に千差万別です。
大きく4つのタイプに分かれています。

「吐きづわり」  一番メジャーな症状の吐き気・吐いてしまうタイプ

「食べづわり」  吐きづわりとは逆に食べていないと
         気持ち悪くなってしまうタイプ

「眠りづわり」  寝ても寝ても眠たい、だるいタイプ

「よだれづわり」 よだれがどんどん溢れてくるタイプ

あとは脱水によって引き起こされる症状も出てくることもあります。
口の渇き、皮膚の乾燥やかゆみ、胃痛、便秘などです。

6)症状別乗りこえ方のコツ

①吐き気、ムカムカ、ゲップが出る、吐く

常に船酔いしている感覚で、本人にしかわからないからつらい症状のひとつですね。

吐きやすい時間は人それぞれですが、朝起きた時など胃が空っぽになることで胃酸が出てくる、低血糖のためムカムカしやすいです。

そのため別名morning sicknessと言われています。

たくさん吐いてしまうと赤ちゃんがちゃんと育つのか不安になりますが、大丈夫!

水分補給さえできていれば乗りこえられることが多いです。

↓対処法↓

空腹時間をなるべく作らない

・カロリーの低いものを選んでこまめに食べる

・ノンシュガーのガム、するめ、酢昆布もオススメ

・炭酸水はスッキリしますが無糖のものにすること
 飲むならコップ1杯まで

・氷をゆっくりしゃぶるようになめる

・アイス、シャーベットは口当たりがいいので食べやすいですが冷えに注意!

ミネラルの補給にもなるイオン系ドリンクや麦茶も◎
 イオン系ドリンクは砂糖の量が多いため、
 つわりが落ち着いたら控えましょう。
 麦茶はカフェインレスのものなら安心して飲めますね。

・みそ汁の汁のみ、野菜スープは栄養もとれるので
 作ってくれる人がいたら是非!

・朝起きてすぐ食べられるように、枕元にクラッカー、クッキーなどを置いておく

・時には食べられないのを諦める!
 ただし、何日も食事ができず水分もとれない時は受診しましょう。

・とってもオススメなのは・・・
 夜中、睡眠時間の中間くらいにアラームをかける
 ゴルフボール大の塩おにぎりを2個枕元に置いておき、
 夜中に食べて朝まで寝るだけ

味付けはシンプルな塩おにぎりが◎
脂っこいものは×

*つわり予防に効果的とされているのが複合炭水化物
 麺類、パン、パスタ、クラッカーなどの主食のこと

☆ポイント☆

一日三食、栄養バランスにこだわらないこと」
「食べられるものを食べられる時に
「一回量ではなく回数を増やす
「ダンナさんの帰りを待たずに空腹を満たす

②においに敏感になる

~妊娠前は平気だったにおいが受けつけられなくなる。

例えば ご飯の炊けるにおい、シャンプーや柔軟剤、
    たばこ、アロマ、香水、、、

中にはダンナさんのにおいがダメになることも!?

満員電車は様々なにおいが混ざっているので要注意です。
出勤時間をずらすことが可能ならラッシュは避けるといいですね。

↓対処法↓

・マスクでにおいをシャットダウン

・ご飯はタイマーで炊飯する or パックのものをレンチンする

・ダンナさんによそってもらうのもオススメ
 ダンナさんに調理を担当してもらうと産後もラクですね。
 (↑意外と大事)

温かい状態だとにおいを感じやすいので「冷やす」とにおいが出にくくなります。

温かいものを食べない・作らない
いったん冷蔵庫で冷やしてみると意外と食べられますよ。

☆ポイント☆

「とにかく冷やしてみるべし」
「嫌になったものは食べない・作らない
「自分がどんな時にどんなにおいで気持ち悪くなったのかメモしよう

その場所やタイミングを避けられるから効果的です。

③その他、メンタル面のアレコレ

吐き気はメジャーだけどつわりと認識されにくいその他の症状。
これも立派なつわりですから、対処していきましょう。

家族や職場の人の理解も重要になってくるところですね。

・眠気、ひたすら眠たい

・体が重たくてだるい
・頭痛、なんとなく頭がすっきりしない

・理由はないのに泣きたくなってしまう、イライラが止まらない~情緒不安定になる

・脱水によって皮膚の乾燥、肌荒れ、便秘

・ダンナさん、実母、義母など家族との衝突、モヤモヤ

・よだれがどんどん出てくる

・歯磨きができない

↓対処法↓

寝るのが一番!!

・仕事をしている人は、妊娠初期で眠気が強くつらいことを上司に報告し、会議室などで仮眠をとらせてもらいましょう。
 30分でも効果ありますよ。

・可能であれば、時短勤務制度を利用するのも◎(*1参照)

肌の保湿をしっかりする
 〜使い慣れたもの、なるべくオーガニックなど体に負担のないもの

便秘改善
 ~ツボ押し、朝起きてすぐ冷たい水をコップ一杯飲む。
 トイレに座る時間を習慣化するなど

・親につわりの経験がないとなかなか理解されないので、助産師やダンナさんを通して伝えてもらう。

ダンナさんへつわりのことを知ってもらう。
 ~一緒に妊婦健診へ行ってもらう。
 助産師や医師から伝えてもらうのが◎

 育児雑誌などを一緒に見る、またはわざとテーブルに開いておく。
(プライドの高いダンナさんの場合、とっても効果的!ダンナさんが自分から調べるということが大事です。そして褒めるのもお忘れなく)

・自分が嫌いと思ったこと、不快だと感じたことは避けて、心地いいものに囲まれるように暮らす。

ストレスをためない工夫。
 ~気分転換のために趣味を充実させたり、違った空間に身を置くのは効果的です。
 何かに夢中になっている時は、つらいことも忘れられるかもしれません。

・無理をせず体を休ませてあげる。
 ~仕事も家事もできる人にお願いすること
 時には人に甘えることも大事です。

・つらいことを周りの人へ伝える
 ~まだお腹も大きくないし、妊娠していることを理解されにくい時期なので自分で伝えることが大切です。
 第三者だとグチを言えることもあるので、助産師外来を活用して下さいね!

・あまりにもつらい時は入院して、家族や職場から離れることも効果的な場合があります。
 その勇気を持つことで赤ちゃんと自分を守れることもあるんですよ。

・お気に入りの香りを持ち歩く。
 ~ハンカチに好きなアロマを数滴染みこませて持ち歩くと、気分が悪くなったときに気持ちをリセットしやすい。
 妊娠期に使えないアロマもあるので注意が必要!

・よだれがどんどん出てくる場合はタオルを持ち歩いたり、枕元に洗面器を置いておく。

・歯磨きができなくてもOK。
 ブラッシングだけにしたり、口をすすぐだけでも◎

④番外編

人によっては効果的じゃないこともある??
体調などによってうまくいくことがあるかも!

・レモン水~水にレモン果汁を入れると口当たりがさっぱりする。
 *空腹時は胃酸で胃を痛めることがあるかもしれないので注意!

・ショウガ湯~お湯にすりおろしたショウガとハチミツを入れるだけ
 チューブのショウガでも◎
 ショウガの辛味がつわりのつらさを和らげるとされています。

酸味のある食べ物~酢の物、トマトは食べやすい。
 *かんきつ系のフルーツは食べた時はいいけれど、あとで吐き気を起こしやすいので注意!

 オレンジジュース同じ
 *酸味のあるものは胸やけの原因になる場合もあるため、様子を見ながらにしましょう。

・食べづわりの場合は、ポケットに個包装のおかしを入れておく。
 *おかき、するめ、ノンシュガーの飴やガムなど。

・食べづわりの場合、フライドポテトなどの脂っこいものなら食べられることも多い。
 *毎日3食フライドポテトにならないよう程々に・・・

・好みが変わることも多いため、他のものにもチャレンジしてみる。

7)まとめ

今はつらくて終わりが見えないかもしれないけれど、つわりは必ず終わりがきます。

焦らずに今だけだと割り切って、周りの人に甘えるのも大切です。

「ママ、頑張りすぎないで!」

そんな赤ちゃんからのメッセージだと受け取って、ゆったり過ごしてみましょう。

体も心も繋がっています。
ママのつらさは赤ちゃんもわかってくれていますよ。

とはいっても、体のつらさはなんとかして乗り切るしかないのも現実・・・

対処法を試して、自分にあった方法が見つかり、つわりの時期を少しでも楽しく過ごせますように。

嫌いなものは作らなくていいし、本能の赴くままに過ごしてみると案外ラクになりますよ。

おまけ
*最近のダンナさんとのつわり事情*

ルナルナファミリーのサイト調べより
https://sp.lnln.jp/?md=ae4c5194-f279-4be9-9038-ec4856a40964

★8割以上のダンナさんが家事や育児をサポート!

1位 家事を手伝ってくれる
2位 体調を気遣ってくれる
3位 食事を作ってくれる

具体的には・・・

・買い物・ゴミ出し

・上の子の世話 

・いつもより早く帰宅してくれそばにいてくれた

・散歩に付き合ってくれた

・家事が出来なくても責めない 

・妊娠やつわりについて調べてくれた

★パートナーの行動で悲しくなったり腹がたったエピソード

・つわりは病気じゃない、気持ちの問題だ

・最近のご飯、手抜きだね

・俺もゴロゴロしていたい

・無理してでも食べなきゃだめだよ

・俺のご飯は?

・休んでいいよと言うものの家事はやらない

・吐き気で眠れないのに隣でいびきをかいて寝てる

・禁煙してくれない

・飲み会に行く

・においが強い物がダメなのに餃子を買ってきた   などなど

悪気はなくても無神経な行動にイライラしてしまうことも・・・

妊娠の実感がない男性につわりを理解してもらうのは難しいのかもしれませんね。

だからこそ、まずは知ってもらうことから始めましょう。
自分で伝えるのは難しいときは、義母などの協力を得てもいいと思います。

*1)時短勤務について

男女雇用機会均等法第23条により「母体健康管理指導事項カード」を提出することで、事業主は妊娠中の時差出勤、勤務時間の短縮、休憩時間の延長など適切な措置をとることになっています。

詳細は母子手帳を確認してみましょう。