便秘

妊娠中は便秘になりやすい?!
たかが便秘…されど便秘
その傾向と対応策

女性はもともと便秘がち…

妊娠するとさらに便秘になりやすく20%ほどの妊婦さんが便秘になっていると言われています。

便秘になることで痔になってしまうこともあるので気をつけたいものです。

できればお薬は使いたくないですよね。

お通じのコントロールができれば、つらい便秘とはサヨナラ~

快適な妊娠生活のためにも、お薬をなるべく使わない方法で早めに便秘予防していきましょうね。

<原因>

・ホルモンの影響

妊娠中はプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が増えます。

このホルモンは腸のぜん動運動を抑制してしまい、腸の動きが鈍くなります。

排卵日から生理前にも多く分泌されていますが、妊娠中は5~10倍に増えることもあるとされています。

・食事量や水分が足りない
・食生活の変化

 とくにつわりの時期は食事がとりにくく、便の元になるものが少なくなったり栄養も偏りがちです。

ビフィズス菌など善玉菌のエサになる食事がとれないと便が固くなってしまいます。

十分な水分がないと便が固くなり便秘になりやすいです。

・運動不足

妊娠中は運動量が減ってしまい、腹筋の筋力も落ちることで便を排出しようとする力が弱まり便秘に影響することもあります。

・子宮が腸を圧迫

だんだんと大きくなっていく子宮が腸を圧迫することで便が通りづらくなることも一因です。

・精神的な理由

妊娠したことでの様々な不安やストレスも便秘の原因になります。
ストレスフルになると自律神経のバランスも崩れてしまいます。

自律神経のひとつである副交感神経の働きが悪くなると腸の動きも弱まってしまうからです。

<予防・対策>

1)水分をしっかりとる

1日1.5~2リットルを目標にしましょう。
水分が足りないと便が固くなって便秘になりやすくなります。

できればホットドリンク、せめて常温にして体が冷えないようにするのも大切。

朝起きてすぐコップ一杯の水を飲むと腸の動きが活発になります。

習慣づけることで「朝は排泄の時間」と体にインプットしやすくなりますよ!

カフェインは大腸の動きを活発にしてくれますが、体を冷やしたり利尿作用もあるため摂りすぎないように1日2杯程度にしましょうね。

2)食生活の見直しをする

・食物繊維をたっぷりと!

 水に溶けやすい水溶性のものと、水には溶けない不溶性のものがあります。

不溶性の食物繊維ばかりを摂ると、ガスが発生しておなかが張ってしまいます。

どちらも大切なのでバランス良く摂ることを意識しましょう。

水溶性食物繊維 こんにゃく・海藻類
不溶性食物繊維 根菜類・豆類   

 主食を未精製のものに変えるだけでも効果があります。

・白米を玄米や分づき米にする、押し麦などの雑穀を加える

玄米は白米の4倍の食物繊維!

 パンは全粒粉、ライ麦パンに♪

 ライ麦パンはロールパンの4倍の食物繊維!

リンゴはお腹にいいと思われがちですが、便を硬くしてしまうので便秘のときには控えましょう。

3)腸内細菌を整える

乳酸菌は善玉菌を増やし腸内細菌を整えてくれます。

オリゴ糖には大腸の善玉菌を助ける働きがあるのでサプリを使うのも効果的です。

 ただ中には糖分が多く含まれていることもあるので摂りすぎは注意が必要。

目安の摂取量を守りましょう。

腸内細菌を整えることは便秘の改善だけでなく予防になります。

4)適度な運動をする

軽い運動は腸の働きも活発になります。
無理のない範囲でウォーキングやストレッチがオススメです。

週数にもよりますが、医師に確認をとった上でのマタニティスイミングやヨガも◎

5)マッサージやツボ押し・お灸でケアする

道具を使わないマッサージやツボ押しは、どこでも気軽にできるのでオススメです。

お灸はじわじわと温めてくれる効果もありますが、火の取り扱いなど注意して行いましょう。

①ツボ押し

直接おなかを刺激しないで「遠隔操作」できる東洋医学で古くから使われている方法

ツボは骨のキワにあることが多いため、骨に沿って探しましょう。
押すと凹んでいたり気持ちいいと感じる場所です。

時にはじ~んと響く感じもします。

合谷(ごうこく)」万能のツボとして有名です。

手の親指と人差し指の付け根のちょうど中間あたり。
手の甲側、反対の手の親指と人差し指で挟むように押す。

神門(しんもん)」ストレスにいいツボでイライラを鎮めてくれます。

手首の付け根にあるシワと小指から手首におろした線が交わるところ。
反対の親指の腹をあてて骨の内側に押す。

湧泉(ゆうせん)」自律神経を整えてくれます。

足裏の中央より少し上側。足指をグっと曲げたときのくぼみ。
両手の親指を重ね足先に向かってグっと押す。

大腸愈(だいちょうゆ)

大腸の働きを助ける働きで便秘・下痢・腰痛にいいツボ

骨盤の上で背骨から左右の外側に指二本のところ。
ウエストに両手をあて、親指でツボを左右同時に体の前方向に押す。

*ツボ押しのポイント

イタ気持ちいいくらいの強さで押す。

ゆっくりと息を吐きながら押して、息を吸いながら力を抜いていく。(8秒くらいかけて行う)

②マッサージ

おなかを優しくマッサージして腸に刺激を与えます。

ひらがなの「の」の字を描くように。強く押しすぎないように注意しましょう。

ゆっくりとした呼吸にして、手を温めてから行うと◎

手の摩擦がないようにオイルやクリームがあるとリラックス効果もあがります。

お腹が張る(子宮収縮)ときはマッサージは控えましょうね。

③お灸

「合谷」「神門」「湧泉」のツボにお灸し、熱いと感じたら外す。
火が消えても効果は持続しているのでそのまま3分ほど待つ。

無理をせず火傷に注意!

6)ストレス発散

ストレスなどでイライラしていると交感神経が優位になってしまい便秘になりやすくなってしまいます。

逆にリラックスすると副交感神経が優位になり、大腸の働きが活発になるといわれています。

7)薬の力を借りる

食事など生活を見直しても効果がなかった場合は妊婦健診の際に相談しましょう。

妊娠中でも安心して飲める薬を処方してくれます。

市販薬もありますが妊娠中には、使えないものもあるので、自己判断で使うのは止めましょう。

また浣腸という方法もありますが、子宮の収縮を促してしまうこともあるので、同じく自己判断での使用は禁忌です。

★妊娠中に使える下剤ってあるの?

・緩下剤~腸内の水分を吸収して便を軟らかくするタイプ

腸管内のみで作用するので赤ちゃんへの影響はありません。
腸内に水分がないと効果がでないため、多めの水分と一緒に内服する必要があります。
(酸化マグネシウム・マグミットなど)

・整腸剤~腸内細菌を整えるタイプ

下痢と便秘を繰り返す人にオススメ
腸管内のみで作用するので赤ちゃんへの影響はありません。
(ビオフェルミン・ラックビーなど)

・大腸刺激性下剤~大腸を刺激してぜん動運動を促すタイプ

しっかりとした効果がある分、刺激も強いので便秘がひどい場合に使われることが多いです。

また習慣性があるため長期間の服用には不向きです。
(ピコスルファートナトリウム・ラキソベロンなど)

<オススメ食材>

①納豆

食物繊維が豊富に含まれていることで便のかさ増しになります。

また発酵している納豆菌は生きたまま腸へ届くため、腸内環境を整えられます。

手軽に食べられるのでお料理が面倒な時でも簡単に摂り入れらますね!

②藻類 

わかめ、ひじき、めかぶ、昆布、海苔など

有害物質を吸着して排便を促してくれます。

乾燥わかめをお味噌汁に入れたり、パックに入っためかぶなどはそのままご飯や豆腐に乗せてもOK

できるだけ簡単に採り入れて毎日食べるといいでしょう。
特にヨードを多く含む昆布は摂りすぎないように注意しましょう。

③ヨーグルト

ヨーグルトに関しては様々な意見がありますが、自分の腸内細菌に合ったタイプを選ぶことが重要です。

乳製品(牛乳)でお腹の具合が悪くなる「乳糖不耐」は日本人の20~30%に見られます。

この原因は牛乳に含まれる乳糖。
ヨーグルトは発酵することで乳糖の一部が分解されます。

また乳酸菌には乳糖の分解を助ける作用もあるため乳糖不耐の人も食べられるでしょう。

自分に合ったヨーグルトを探すには、ひとつのヨーグルトを2週間毎日食べ続けること!

便の状態をチェックするだけです。
自分に合ったものならスルっと快便になりますよ。

<まとめ>

便秘は予防することが大切!

毎日のことなので食事や生活を見直すいいチャンスだと思って取り組むのがいいですね。

すぐ薬に頼るのではなく、まずはやれることから試してみましょう。

食事や運動、水分のことなど、無理なく簡単にできる事から始めて習慣になるのがベストです。

一度便秘になってしまうと便秘、便秘…と悩んでしまいがちですが、お通じがスルっと出るイメージをしておくイメトレも実は重要です。

ストレスは便秘にも妊娠生活にも大敵ですから、リラックスして「快腸」生活にしましょう!